Silent PC 実践製作

パソコンを自室(兼寝室)で24時間稼働しているとうるさいパソコンはどうにも許せません。 なんとしても、少しでもいいから静かにしたい。 というわけで世間で効果ありといわれる様々な方法を実際に試してきたわけなのですが、 せっかく色々やったのでまとめてみました(笑)。どうぞご参考までに。
まあ、購入するときに静かな製品を選べばそれに越したことはないわけなんですが。

注意

冷却効果を落としたり装置を密閉したりという静音化の方法は、 場合によっては過熱などを引き起こし、装置の破壊へとつながります。 改造は排熱が問題なく行われているかに特に気をつけてください。
また、改造によりメーカ保証が受けられなくなります。 お試しになる場合は各自の責任でお願いします。
紹介する方法の中でどの方法が効果的かは、騒音の原因がどこにあるかによるため それぞれの環境により効果は異なります。 また、一部は電子工作の技術が必要になりますのでご注意ください。

装置別の対策

  1. ケース
    1. 防振マットで振動を防ぐ
    2. 発泡ウレタンシートでケース内の反響を減らす
    3. 鉛防振シートでケースの共振を抑える
    4. ファン全般
      1. 供給電圧を下げて回転数を下げる
      2. PWM制御で回転数を下げる
      3. ファンガードの除去
      4. CPUファン
        1. 他のファンで冷却する
        2. ファンを取り外す
        3. 温度センサ付きの電源ファン
          1. 取り付け向きを変えて回転数を下げる
          2. 温度センサの位置を動かして回転数を下げる
          3. 回転制御ユニットを改造して回転数を下げる
          4. HDD
            1. SMART DRIVEで防音
            2. ゴムによる防振
            3. 宙づりで防振

              Silent PC 構築例



              ケース

              普通のPCケースの防音効果は大したことはありません。 中に音源があれば結局は外へと音は伝わってきます。ケースに防音機能を求める より、音を出す装置をできるだけ取り去ることが現実的でしょう。 とはいえ、場合によっては多少の効果が得られると思うのでいくつか効果のありそうな ところを紹介します。

              防振マットで振動を防ぐ

              防振マット
              ↑ 防振マット

              ケースの振動が伝わってラックや床などと共振しないように、ケース足の下に 防振マットをはさみます。防振マットはオーディオ用等で市販されています。 フローリングの床やラックの上にケースを設置している場合は多少の効果が みられます。

              効果:中
              ラックに手を置いても振動を感じなくなった。確かにケースの振動は伝わり にくくなっているようだ。若干の効果あり。


              発泡ウレタンシートでケース内の反響を減らす

              発泡ウレタンシート
              ↑ 発泡ウレタンシート(吸音シート)

              ケース内の音の反響を抑えるために、吸音材をケースの内側に張ります。 新聞紙を一度くしゃくしゃにしてから広げて何枚か重ねた物でも効果が得られる そうです。

              効果:小
              「少し静かになったといわれればそうかもしれない」という程度の効果しか得られま せんでした。低音に対しては効果は皆無です。
              パソコンケースに対して十分な吸音材を用いるのはそもそも無理なようです。 ケース内にはそんなに余裕があるわけではないので薄い吸音材しか使えないし、 放熱のために完全には密封できないからです。


              鉛防振シートでケースの共振を抑える

              エアコンの室外機の防振などを目的とした粘着テープ付きの鉛シートをケースに張ると 共振が抑えられます。

              効果:?
              ケースにめだった共振はないのでこの方法は試していません。 効果のほどは不明ですが、この方法にこだわらなくても他の方法で低騒音化を進めれば ケースの振動は気にならない程度におさまると思います。



              ファン全般

              最近はチップセットやグラフィックチップ、CD-Rドライブなどにもファンがついて いる場合があります。新規に購入する場合はファンのないものを選ぶことが重要 です。 また、大きいファンを使えばより少ない回転数で同じ風量を得ることができるため効果的です。 ファンに共通して行える対策は、不要であれば取り外し、取り外せなければ 回転数を下げる、ということです。 ファンを高速で駆動すると、ファン自体(モータ)から大きな騒音が発生し、さらに、 空気の流れる音(「ゴォォーー」という風切り音)が発生します。この2つが主な ファンの騒音の原因です。 つまり、ファンの騒音を減らすには2つの対策があることになります。 最近は温度センサで回転数を制御するファンなど、騒音に気を配った製品もみられます が、大体のファンは普通の冷却に必要ないほどの回転数で駆動されています。 まあ当然ですが、メーカーは冷却ぎりぎりの回転数で出荷したりはしませんから。 ファンの回転数を下げることで当然冷却能力は落ちるわけなのですが、過剰なマージン から多少削る程度なら問題ないというわけです。 たとえばCPUは普通の環境では気温+5度とかまで冷却してやる必要はなくて、 気温+20度程度でも十分に安定して動作するわけです。 自分のマシンをトータルで見て必要最低限(+α)の冷却能力でファンを駆動するように すればファンに関しては静かなシステムができあがります。

              供給電圧を下げて回転数を下げる

              ここではダイオードを使って供給電圧を下げる方法を紹介します。 回転数を制御するのにおそらく最もお手軽な方法でしょう。 シリコンダイオードは順方向に0.5〜0.7Vの電圧降下があります。 ダイオードを直列につないでファンへの供給電圧を下げて回転数を下げます。 ファンによって動作する最低電圧はまちまちです。
              ダイオードのモジュール
              ↑ 製作例

              他にも電圧を下げるにはレギュレータICを使って電圧を調整する方法などがあります。 また、微調整がいらないのであれば、4ピンの電源コネクタを使って、 12Vのファンを5Vで駆動したり、12Vと5Vのラインにつないで差の7Vで駆動する方法が あります。

              効果:大
              ファン自体から発生する音、風切り音、共に減少しました。 非常にお勧めできる手法です。


              PWM制御で回転数を下げる

              電圧を下げると回転数を下げることができますが、それ以上にモータのトルクは 著しく落ちます。 PWM制御を用いれば駆動電圧を下げずに回転数を制御できます。
              PWM制御回路図
              ↑ PWM制御回路(この定数ではキャリア周波数は可聴範囲に入る)

              PWM制御回路
              ↑ 製作例

              電圧での制御と比べて強い回転力が得られるので、より低い回転数で作動させられる ようになります。 PWM制御ではキャリア周波数の騒音がモータから発生するので、 騒音が余計に大きくなる(耳に付くようになる)ことも考えられます。 キャリア周波数が可聴周波数以上になるようにVR1やC2の定数を設定する必要があります。

              効果:大
              設計しておいて言うのもなんですが、そこまでする必要はないと思います(笑
              そこまで下限いっぱいでファンを回したいという状況も少ないでしょう。


              ファンガードの除去

              ファンガード除去
              ↑ ファンガードを取り外した例

              ファンガードはファンに物が巻き込まれないように用意されている網状の 金属部品のことです。 電源やケースは取り付け位置にあらかじめ用意されていることが多いです。 ファンの風量が多いほどファンガードからは大きな風切り音が発生します。 また、この手のファンは圧力差に弱く、ファンガードによって空気の流れが悪くなって 冷却能力が低下しています。 安全性に特に問題がない場合はファンガードは取り外すことをお勧めします。 普通のファンは排気する向きにファンが取り付けられている場合、 ファンの支持部分が外側になるので、ケーブルが触れたりする程度では巻き込みや ファンの停止などの問題はまず起こりません。

              効果:大
              切っただけでここまで変わるものかというほど効果がありました。 お金もかからないし非常にお勧めです。 うちのケースはガードが別パーツにはなっていなかったので、 思い切って痛んでもいい古いニッパーで切断しました。 別にさわらないので切り口も整えてありません(笑



              CPUファン

              CPUファンは径が小さいため、冷却能力を満足するためには比較的高速で回転させなく てはいけません。 また、オーバークロック用など冷却能力をうたっているファンは過剰な回転数で動作 しています。このため他のファンよりも騒音がひどい場合があります。


              他のファンで冷却する

              他に口径の大きいファンがあればそちらで冷却できるようにセッティングして 既存のCPUファンを取り外します。 ダクトを使う場合は風量に影響が出ないように十分な口径をもたせます。 口径が小さいと風量が低下して冷却効果が落ちるのに加えて、風切り音が出て 逆効果になることがあります。
              ダクト
              ↑ ダクトの設置例

              効果:中
              CPUファンを取り去って、ボール紙で作ったダクトで背面ファン (定格24Vのものを10Vで駆動していてかなり静か) に接続しました。 CPUの温度は、ヒートシンクが確実に空気の流れに設置されるようになったためか 予想に反して下がりました。 静かになって冷却能力も上がって一石二鳥です。


              ファンを取り外す

              ケースからの排熱が十分で、比較的小さい発熱量のCPUであれば、単にヒートシンク からファンを取り外しても問題がないようです。 安定して動作してくれれば、音の発生源を取り除けるし、 お金もかからないわけでしめたものです。

              効果:大
              効果はあったのですが、CPUのヒートシンクが貧弱でCPU温度が高くなってしまった ので、うちでは最終的には採用しませんでした。 最近は非常に大きいヒートシンクや銅製のヒートシンクなど、放熱能力が大きい 製品が市販されていますので、そのような物を使えばベターでしょう。



              温度センサ付きの電源ファン

              温度センサ付きの電源ファン (起動してしばらくしてから回転数が上がってくるようなもの) の回転数を下げる方法です。 温度センサがない場合はファン全般を参照してください。 ケース内の空気の流れを電源ファンだけでまかなっている場合は過熱に注意 してください。

              取り付け向きを変えて回転数を下げる

              最近のATX規格のケースの電源は、排気する向きにファンが取り付けられて いるようです。これを吸気の向きに変えることで、より温度の低い空気を 電源に入れるようにして電源内の温度を下げ、ファンの回転数を下げます。

              効果:中
              電源投入直後の回転数がほぼ維持されます。


              温度センサの位置を動かして回転数を下げる

              回転数制御モジュールのサーミスタがヒートシンクに接するように 取り付けられている場合は、このサーミスタをヒートシンクから離すように 曲げることで同じように回転数を下げることができます。 すべての電源がこのような作りになっているわけではありません。

              効果:中
              上とほぼ同様の結果が得られます。


              回転制御ユニットを改造して回転数を下げる

              上記のモジュールの回路図は次のようになっていたので、半固定抵抗(赤い部分)を 追加して回転数を外部から制御できるようにしてやります。 サーミスタ部分の温度が上昇すれば回転数は上がります。
              制御ユニット回路図
              ↑ 温度制御ユニットの回路図

              半固定抵抗の設置例
              ↑ 半固定抵抗(ヒートシンク上の小基板の青と黄色の部品)の設置例

              すべての電源がこのような作りになっているわけではありません。

              効果:中
              電源の温度が上がった場合は回転数を上げることができるので、 上の2つの方法よりはお勧めです。



              HDD

              SMART DRIVEで防音

              SMART DRIVEというHDDケースが6000円ほどで市販されています。 3.5インチハードディスクを入れる5インチサイズの防音ケースで、 放熱にも気を使って設計されているようです。 ケースの外側はアルミでサイズはCD-ROMドライブよりやや短い程度です。 5インチベイの空きかケース内に置ける場所が必要になります。

              効果:大
              取り付けて電源を投入すると、まずディスクの加速音がほとんど聞こえないことに感動 しました。アクセス音もヘッド移動の音の低音部だけがかすかに聞こえる程度に軽減 されて非常に快適です。


              ゴムによる防振

              ケースに振動を伝えないようにする方法です。ねじ止めする面にゴムシートなどを あててねじ止めします。

              効果:小
              ケースに振動が伝わりにくくなるだけで、HDDから発生する音に対して効果は ありません。 HDDのベイ付近に共振などがみられる場合は試してみる価値はあるかもしれません。


              宙づりで防振

              これも、ケースに振動を伝えないようにする方法です。金属チェーンやケーブルで ベイの下にドライブをぶら下げます。 これによりケースに振動が伝わりにくくなります。

              効果:小?
              試していません。おそらく、ゴムによる防振より多少いい程度だと思われます。




              自作PC

              自作PCの静音化とそれに伴った放熱対策です。
              上に紹介した方法の中で、1、2、4、6、7、10、11、12の方法を実際に取り入れたマシンです。
              側面写真
              ↑ 側面の写真

              赤枠が主な熱源、水色矢印が空気の流れ、水色★が温度センサ位置を示しています。 温度センサは左からそれぞれ、ケース内、CPU、SMART DRIVE内の温度を測定するものです。
              背面のファンは鈴商で駆動展示されている定格24Vのファンを選びました。 これを約10Vで低速回転させています。 電源ファンは元々電源についていたもので、 こちらも電源投入直後にわずかに回転する程度に減速させてあります。 少しでも通風をよくして放熱をカバーできるように、 電源の空気穴の格子を切断しました。
              HDDはSMART DRIVEを使用していて過熱しやすいので、 一番冷却しやすいような配置にしました。 5インチベイは上からCD-R、CD-ROM、空き、SMART DRIVEと配置してSMART DRIVE上面を空気が通るようにしてあります。
              また、確実にこの部分から吸気するように、前面の余計な穴と側面の放熱用の穴はテープで目張りしました。 ケース下に見える黒いものは防振マットです。写真には写っていませんが、 ケース側面のパネル(外されている部分)の内側にはウレタンシートが貼ってあります。
              このセッティングでアイドル時の温度は次のとおりです。

              外気 ケース内 CPU HDD
              23℃ 26℃ 32℃ 31℃
              冷却についても夏でも十分乗り切れそうな結果となりました。



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